「おそらく肺がんが進行して、胸水がたまったと考えられます。胸水がたまるということは、肺がんでもステージ4です。ご本人の負担になりますから、これ以上検査はしません。治療も意味がないと思います。食事も誤嚥するため取れない状況で、点滴をしています。ただ、ここは救急病院ですからずっと入院していることは無理です。どうしましょうか? 自宅に帰れば点滴なしでは1週間くらいの命だと思います」
それを受けたFさんは「それでは他の病院に移してください」とお願いして、Kさんは数日後C病院に転院しました。そしていまはC病院で点滴を受けています。
ある夜、Kさんは自分がどこに居るのかが分からなくなったようで、ベッドから降りようとして腕から点滴の針が抜け、シーツが血だらけになったそうです。するとその夜、点滴を外さないようにとKさんは白い手袋をはめられました。その手袋の先には白い紐がつながっていて、ベッド柵に縛ってあります。腕はある程度動かせるのですが、制限されています。
がんと向き合い生きていく