中高年の正しい眠り方

夕方にうとうとすると夜の睡眠の質が下がって疲れがとれない

「うとうとする場所」に座らないこと
「うとうとする場所」に座らないこと

 しっかり眠ったはずなのに疲れがとれない……。そんな悩みを抱える中高年は、就寝する前、たとえば帰りの通勤電車や、自宅のソファでうとうとしたり居眠りすることが習慣になっているケースが多く見られます。

 睡眠の質を上げてしっかり疲れをとるために重要なのは、「深部体温をしっかり下げること」です。深部体温とは体の表面体温ではなく、内臓を含めた体の中心部の体温のことで、高くなれば活発になり、低くなると眠くなります。

 深部体温には上昇と下降のリズムがあり、起床から11時間後に最高になって、22時間後に最低になります。たとえば6時起床の場合は17時に最高になり、明け方4時に最低になるといった具合です。深部体温が最高になる起床11時間前後にうとうとしてしまうと、深部体温リズムのメリハリがなくなり、夜になっても深部体温が下がらずに睡眠の質が下がってしまうのです。

 また、深部体温は「成長ホルモン」の分泌にも大きく関係しています。

 成人にとっての成長ホルモンは、疲労を回復させたり、体重を適正に保つなどの役割があります。昼間に過剰に摂取した糖分や脂肪分を燃焼させ、翌朝に向けて体を元の状態に戻しているのです。つまり、質の高い睡眠をとって成長ホルモンをしっかり分泌させないと、疲れがとれないのです。

■いつも居眠りする場所に座らない

 成長ホルモンは深部体温が下がるほど多く分泌され、入眠直後から3時間に分泌が高まります。夕方や夜の早い時間帯にうとうとしてしまうと、就寝時の成長ホルモンの分泌が不足してしまいます。さらに、成長ホルモンは睡眠不足が続くと1日に2回分泌するようになります。

 成長ホルモンには睡眠を促進させる効果もあるので、こうなると、本来であれば眠る必要がない夕方や夜の早い時間帯に成長ホルモンの分泌が高まり、さらにうとうとしてしまう悪循環に陥ってしまうのです。

 就寝時に深部体温をきちんと下げて、成長ホルモンをしっかり分泌させるためには、まず夕方や早い時間帯にうとうと居眠りしないようにしましょう。うとうとするのが習慣になっている人は、リビングのソファでテレビを見ながら……といったように、いつも決まった場所で居眠りしているケースがほとんどです。「その場所に座ったらうとうとする」という行動を脳が記憶しているので、眠くなかったり疲れていない時でも、決まった場所に座るとうとうとするようになってしまうのです。

 本当に疲れていてどうしても居眠りしてしまう……といった場合は仕方がありませんが、そうでない日は「うとうとする場所」に座らないようにしてみてください。その場所に座らなければ、うとうとを防ぐことができます。まずは1日だけでもいいので試してみて、“すごく眠い状態”で就寝すると、翌朝には「やっぱりしっかり眠ると調子がいい」と実感できるはずです。

 次回は就寝時に深部体温をきちんと下げる方法についてお話しします。

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