コンビニ食で健康を保つ知恵 栄養の三大要素の表示で選択

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 6月5日総務省発表の「家計調査」によると、4月の実質消費支出に特異な変化が見られた。外食に関わる思われる食事代、飲酒代が減り、食品であるパスタ(70・5%)、即席めん(43・3%))、冷凍調理食品類(19%)が前年同月比で大幅に増えたという。自宅待機や外出自粛で、自宅で調理する家族が加速したためだ。

 コンビニ弁当も、飲食店閉鎖の中で、手っ取り早い昼食選択の1つになった。

 しかし、毎日のコンビニ弁当は、栄養のバランスに不安が生じるなど、健康維持の面から、果たしてどうなのか。食品と健康について著書を持つ食生活コンサルタントで、コンビニ弁当派の蓮井慶子さんが言う。

「コンビニでお弁当やおにぎりを購入する人は、今日はどの商品を購入するか、自分で選択しなければなりません。家族や本人が料理するときは、食べる人の健康状態を考えて作るでしょうが、そうではないのです。ですから、自分の健康を考慮して弁当を選択するためには、栄養に関する最小限の知識を持っていなければなりません」

 ほとんどの人は早朝から店頭に並ぶ色とりどりの弁当類を見て、自分の食べたい、好きな物を選ぶだろう。

 しかし、毎日の昼食である。例え手作り弁当であっても好きなものだけを食べ続けていたら、偏った食生活になり、栄養のバランスを失い、結果的には肥満や、糖尿病や高血圧症など、健康を害してしまいかねない。

 いまのコンビニ弁当は栄養士とタッグを組んで栄養バランスを考えている。ただし、人ごとに必要な栄養素にはばらつきがあるので、そのことを考えて選ぶ必要がある。

 たかが弁当1食とあなどることなく、健康管理は、日々食べ物の積み重ねが重要だというのだ。

「栄誉の知識を持つといっても、難しいことではありません。最低でも、栄養の三大要素である『炭水化物』、『蛋白質』、それに『植物繊維』の摂取バランスを考えながら弁当を選択してほしいです」(蓮井氏)

■読み取る知識を養う

 では、どのような栄養知識が必要なのか? まずは、エネルギー源である「炭水化物」は、ご飯、パン、麺類、イモ類に多く含まれており、「蛋白質」は肉類、魚、卵、乳製品。胃腸を快適にする「植物繊維」は野菜、果物、海藻類であることは知っておきたい。

 成人男性、成人女性が1日に摂るべきカロリーと先に述べた炭水化物、タンパク質、食物繊維の1日の摂取バランスも頭に入れておくべきだ。管理栄養士で愛国女子短期大学部非常勤講師の古谷彰子氏が言う。

「心臓を動かし、体温を維持するなど生命維持に最低限必要なエネルギー量を基礎代謝量(成人男性約約1500キロカロリー、同女性約1200キロカロリー)といい、普通の生活を送る場合の1日の全エネルギー消費量はその1・5~2倍になります。成人では2000~3000キロカロリーです。これだけのエネルギーを食物中の栄養素から摂らなければなりません。摂取バランスは炭水化物が50%、タンパク質15%程度といったところでしょうか」

 例えば1日を2500キロカロリーとして朝、昼、晩を等分にした場合、昼食はおおよそ800キロカロリー。半分を炭水化物で摂り、15%をタンパク質で摂るとおにぎりなら2個分程度、チキンサラダ1つ程度で、それ以外に現代人が不足がちな食物繊維を野菜サラダのパックか野菜ジュースで補えばいい。

「コンビニでの食事は栄養が偏ると思いがちですが、カロリーや栄養素などがきちんと表示されていますから、それを読み取る知識さえあれば、健康的な食事ができるのです」(古谷氏)

 では、コンビニ弁当の場合はどうすればいいのか?上記のような基本事項を頭に入れたうえで、1週間単位でカロリーや炭水化物、タンパク質、食物繊維を調整するように考えるのがいいだろう。

 具体的には好きな「ロースかつ丼弁当」(約780キロカロリー)や、「から揚げ弁当」(700キロカロリー強)、「豚生姜焼き弁当」(800キロカロリー強)等、蛋白質の多い弁当を選択したら、翌日は、以下のような弁当の選択の工夫してみる。

「パスタ弁当」(480キロカロリー)。「ネギトロ丼」(330キロカロリー)、「和風幕の内弁当」(590キロカロリー)や「中華丼」(520キロカロリー)等に切り替えるのだ。

「サンドイッチなどパンを昼食に好む人は、炭水化物はいいのですが、これだけでは栄養のバランスが保ちません。同時に牛乳や、魚肉ソーセージなども食べてください」

 また。カップラーメンやコロッケなど素朴な昼食で済ませる時は、タンパク質の栄養摂取が少なくなる。筋肉が落ちるので、合わせて温泉卵や豆腐なども追加する。

「若い人はから揚げ弁当を好むようですが、腹持ちはいいけど、脂の多い食品です。同時にサラダや野菜類、はんぺんなどの植物繊維を食べることも忘れないでほしいですね。また、高齢者層の人は、大腸がん予防のためにも、植物繊維食品の摂取を絶対に忘れないことです」

 弁当代を節約するために、自宅でゆで卵を作る。あるいは逆にご飯だけを炊き、コンビニでバランスの取れたおかずを選択する方法もコンビニ利用の知恵だという。

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