日本全国「不健康偏差値」対決

47都道府県ワーストは?厚労省のメタボ健診データは20種類

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 厚生労働省は、毎年の特定健診(メタボ健診)の結果を集計し、健保組合ごとの健康状態を点数化して偏差値を出し、結果を各企業トップに送付している。各社の健康偏差値通知書と言っていい。ただし一般には公開されていない。もし公開されていたら、企業間の健康偏差値の比較ができておもしろいのだが、そうは思わないひともいるのだろう。

 だが、都道府県単位の特定健診データは、厚労省がネットで公開してくれている(最新版は2017年度)。それをうまく加工すれば、都道府県単位での健康状態を比較できそうだ。

 ではどんなデータが公開されているのか。

 たとえばBMIに関しては、検査値が「18.5未満」「18.5以上20.0未満」「20.0以上25.0未満」「25.0以上30.0未満」「30.0以上」の5段階に分かれており、それぞれの人数を、都道府県・年齢・性別に分けて、集計している。東京都の40代男性でBMI30.0以上は、受診者79万731人中、5万3851人といった具合だ。

 検査値がどれだけだったら健康と言えるだろうか。厚労省の基準は18.5以上25.0未満だが、だとしても18.5未満は不健康と決めつけるわけにはいかない。また27ぐらいなら「ちょいメタボ」の部類だから、むしろ健康と言えそうだ。とはいえ、BMIが30.0以上は、さすがに問題有りだろう。身長160センチなら体重76.8キロ以上、170センチなら86.7キロ以上、180センチなら97.2キロ以上。BMIに関しては、30.0以上は不健康と言っていい。

 そこで東京都の40代男性のデータを見直すと、全受診者の6.8%がBMI30.0以上だった。同様にして、各都道府県の、年齢・性別のBMI30.0以上の割合を出すことができる。

(C)日刊ゲンダイ

 ではどんなデータが公開されているのか。

 たとえばBMIに関しては、検査値が「18.5未満」「18.5以上20.0未満」「20.0以上25.0未満」「25.0以上30.0未満」「30.0以上」の5段階に分かれており、それぞれの人数を、都道府県・年齢・性別に分けて、集計している。東京都の40代男性でBMI30.0以上は、受診者79万731人中、5万3851人といった具合だ。

 検査値がどれだけだったら健康と言えるだろうか。厚労省の基準は18.5以上25.0未満だが、だとしても18.5未満は不健康と決めつけるわけにはいかない。また27ぐらいなら「ちょいメタボ」の部類だから、むしろ健康と言えそうだ。とはいえ、BMIが30.0以上は、さすがに問題有りだろう。身長160センチなら体重76.8キロ以上、170センチなら86.7キロ以上、180センチなら97.2キロ以上。BMIに関しては、30.0以上は不健康と言っていい。

 そこで東京都の40代男性のデータを見直すと、全受診者の6.8%がBMI30.0以上だった。同様にして、各都道府県の、年齢・性別のBMI30.0以上の割合を出すことができる。

(C)日刊ゲンダイ

 次にこの6.8%を、点数と読み替えてみよう。つまり東京都の40代男性が獲得した「BMI不健康得点」が6.8点だったと見なすのである。同じようにして、他府県のBMI不健康得点を出せる。そこまでいけば、偏差値を出すのは簡単だ。公式にしたがって機械的に計算するだけである。いわば「都道府県BMI不健康偏差値」である。ちなみに東京都の40代男性のBMI不健康偏差値は、44.7であった。

 他の項目の偏差値も求めてみよう。公開されている検査項目は20種類もあるが、今回はBMIのほか、空腹時血糖値、中性脂肪、γ‐GTP、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)、収縮期血圧(上の血圧)、尿蛋白を選んだ。そして不健康ラインを表のように決めた。一般的な健診の異常ラインよりも、かなり上に設定している。

 メタボ健診というと「腹囲」が有名だが、上の区切りが「90センチ以上」となっていて、さすがに使えない。90センチ台で健康なひとは、いくらでもいる。また糖尿病には、HbA1Cのほうが適していると言われているが、特定健診では義務化されておらず、受診者が少ないため、今回は使わない。

 以上のような準備を経て、各項目の不健康検査値を計算してみた。東京都の40代男性でみると、血圧(上)の不健康偏差値が31.3、空腹時血糖値が39.6などとなった。

 しかし数字で示すより、レーダーチャートでお見せしたほうが分かりやすいだろう。図は東京都と北海道の40代男性のものである。見てのとおり、北海道のほうが不健康偏差値的には”優秀”だ。北海道は、全項目で偏差値50以上を取っている。とくにBMIは63.3もある。それに対して東京都は、全項目でバランスよく低い。

 レーダーチャートは直感的に分かりやすいのだが、自分の県の総合順位が分からないといった欠点がある。しかし総合順位の出し方が難しい。各項目の不健康得点を合計して偏差値を出せばいい、と思われるかもしれない。しかし例えば血圧の平均が2.1点、BMIの平均が7.4点というように、項目間の差が大きい。

 そこで今回は、各項目の偏差値の平均をとって、それを「総合偏差値」とすることにした。偏差値の平均なんて乱暴だという声が聞こえてきそうだが、まあ見た目が分かりやすいから、ということでご容赦願いたい。

 この総合偏差値に基づいて順位を付けると、北海道は不健康ランキング第6位、東京都は43位となった。

 ということで、次回から各世代の不健康偏差値について、詳しくみていくことにしよう。

永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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