手術は局所麻酔だったので、ドリルで頭蓋骨に穴を開けるときの振動や音を感じました。工事現場みたいな印象です。貫通したとき「ボコッ」という音がして、穴が開いた瞬間もわかりました。
そして、そのままギターを持たされて手術台であおむけのまま弾かされました。医師から「ここはどう?」と言われては弾き、治療箇所を探っていくのです。頭蓋骨を開けたままギターを弾くなんてめったにできない経験ができたなと、今では前向きに捉えています。
1時間ほどで手術は終わり、入院も1週間ほどであっけないくらい順調でした。
でも、すぐにプレーが元通りになるわけではなく、今もまだ完璧ではありません。というのも、異変に気付いてから手術までの間、動きにくい指をごまかしながら弾き続けていたので、そのクセがなかなか取れないのです。
独白 愉快な“病人”たち