血管・血液を知る

「頭に血が上る」とはどんな状態?血流と感情のメカニズム

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 電車の中などで、顔を真っ赤にしながら、突然怒り出す中高年を見かけることがあります。あるいはまた、若い人たちが会話の最中に、いきなり怒って暴言や暴力を振るってしまう。

 こうした感情の急変を、「キレた」とか「頭に血が上る」という表現を用いることがあります。では実際、このような急変する感情の変化と血流の間に、医学的にはどのような相互関係があるのでしょうか。

 頭に血が上るとは、一般的に血圧が急に上がったときの頭痛の症状を指すことがあります。また、ほてりを指すこともあり、それに血管の拡張による顔、頚部、頭部などの充血感、熱感を指す場合があります。

 では「興奮」のメカニズムはどういうことでしょうか。これは何らかの刺激を受けることで、安静の状態から体が活動状態に変化することです。

 もちろん興奮するのは、怒りを感じたときだけではありません。素晴らしい景観、演劇そして映画・テレビなどを見たときや音楽を聴いたときも興奮します。興奮を起こす外部からの情報は脳の中の視床下部室傍核に入り、視床下部―下垂体―副腎皮質系だけでなく交感神経系を活性化させます。交感神経の作用で情報を伝えるホルモンのアドレナリンやノルアドレナリンが副腎髄質で作られ、これら神経節や脳神経系における神経伝達物質が興奮による体の反応を起こします。

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東丸貴信

東丸貴信

東京大学医学部卒。東邦大学医療センター佐倉病院臨床生理・循環器センター教授、日赤医療センター循環器科部長などを歴任。血管内治療学会理事、心臓血管内視鏡学会理事、成人病学会理事、脈管学会評議員、世界心臓病会議部会長。日本循環器学会認定専門医、日本内科学会認定・指導医、日本脈管学会専門医、心臓血管内視鏡学会専門医。

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