中高年の正しい眠り方

深部体温が上がる夕方に肛門を締めて歩くと熟睡できる

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 疲労をしっかり回復させるためには質の高い睡眠が必要で、睡眠の質を高めるには「深部体温をきちんと下げること」が重要です。深部体温とは体の表面の体温ではなく、内臓を含めた体の中心部の体温のことで、高くなれば活発になり、低くなると眠くなります。

 深部体温には上昇と下降のリズムがあり、起床から11時間後に最高になって、22時間後に最低になります。このリズムを利用して、高↓低に下降する際の勾配を大きくすればするほど、ぐっすり眠れるようになるのです。

 まずは、深部体温が最高になる起床11時間後に居眠りをしないようにしましょう。たとえば毎朝7時に起床する人は、夕方18時前後にうとうとしないようにするのです。深部体温が最高になるタイミングで居眠りしてしまうと、深部体温リズムのメリハリがなくなり、夜に深部体温が下がる勾配が緩くなって寝つきが悪くなります。

 夕方の居眠りを避けることに加え、そのタイミングで深部体温をしっかり上げておくと、夜に深部体温が下がる際の勾配が大きくなります。

 深部体温を上げる方法はいくつかあり、効率良く上げるには「お尻の筋肉を鍛える」ことがおすすめです。お尻の筋肉にはミトコンドリアがたくさん存在します。酸素を使ってエネルギーをつくり出す小器官で、筋肉が増えてミトコンドリアが増えると深部体温が上がりやすくなるのです。

 夕方に「ヒップリフト」と呼ばれる筋トレを行うのが有効です。膝を立ててあおむけに寝て、お尻に力を入れて持ち上げる定番トレーニングです。5分だけでも効果があります。

 筋トレをする時間がない人は、歩くだけでもお尻の筋肉を鍛えることができます。背筋を伸ばしながら、肛門をしっかり締めて歩いてください。しっかり意識できていると、少し歩いただけでもお尻の筋肉をはじめ、腹筋や背筋を使った感覚があるはずです。

 深部体温が上がる夕方は、横になったり座ったりせずに歩く用事をつくり、歩くときには肛門を締める。これが習慣になれば、日々、生活しているだけで夜の睡眠の質を上げることができます。

 深部体温を一時的に上げるには「入浴」も有効です。就寝の1時間前に入浴して熱い湯船につかると深部体温がグッと上がり、お風呂から上がった1時間後には体の放熱が進みます。そのタイミングでベッドに入るのです。一時的に上昇した深部体温が就寝時に一気に下がって勾配が大きくなるため、ぐっすり眠れるようになります。

 シャワーだけで済ませる場合は、深部体温が上昇しづらくなります。そこで、くるぶしの3センチくらい上を目安にシャワーを当てて、足首を温めるようにしましょう。人間は足の裏に体温調節機能があり、足の裏から放熱して深部体温を下げています。足首をしっかり温めておくと、足の裏から汗をかきやすくなって放熱が促されるのです。

 深部体温のリズムは、しっかり上がる日をつくると、翌日に上がりやすくなるという仕組みになっています。つまり、今日がんばって夕方に深部体温を上げれば、明日はよりがんばりやすくなるということです。まずは一度、試してみてください。

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