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高血圧の9割以上が本態性高血圧症 生活習慣と密接な関わり

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 治療の基本は、食事療法を含む生活習慣の改善に他なりません。この時点ではまだ降圧剤の治療は見合わせます。

 高血圧症は軽・重症度で分類されていて、Ⅰ度は収縮期血圧140~159㎜Hg/拡張期血圧90~100㎜Hg。Ⅱ度は160~179㎜Hg/100~109㎜Hg。Ⅲ度は180㎜Hg以上/110㎜Hg以上とされています。

 重症度の分類以外に、高血圧が生じる原因によって、さらに「本態性」と「二次性」に分けられます。そのうちのおよそ9割以上が「本態性高血圧症」です。本態性とは原因はわからないものの、特定の症状や病態を来す状態のことをいいます。この本態性高血圧症は、生活習慣と密接に関わっていると考えられますが、具体的には塩分の取り過ぎ、肥満、それに運動不足、ストレス、疲労などが主な原因になります。

 このような環境の中で、塩分以外には心臓の収縮力や細動脈を収縮させる生理活性物質や、ノルアドレナリン(神経伝達物質)、カテコールアミン(同)、アンジオテンシンⅡ(血管収縮、昇圧物質)などが血圧の昇圧に関係しており、高血圧発症の大きな因子になる可能性が示唆されています。

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東丸貴信

東丸貴信

東京大学医学部卒。東邦大学医療センター佐倉病院臨床生理・循環器センター教授、日赤医療センター循環器科部長などを歴任。血管内治療学会理事、心臓血管内視鏡学会理事、成人病学会理事、脈管学会評議員、世界心臓病会議部会長。日本循環器学会認定専門医、日本内科学会認定・指導医、日本脈管学会専門医、心臓血管内視鏡学会専門医。

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