進化する糖尿病治療法

持病があってハッピー!定期検査で病気知らず健康で長生き

写真はイメージ(C)PIXTA

 定年退職後、通いやすい自宅近くのクリニックに変えてからも医師や看護師との関係は、以前のクリニックと同じようなもの。糖尿病になったことはうれしいことではないものの、なんでも相談できるかかりつけ医を持てたことは、健康を維持する上でよかったと、Aさんは考えているそうです。

 私が担当している患者さんも、Aさんと似たような話をされる方が結構います。また、糖尿病で定期的な検査を受けている方のほうが、一病息災ではないですが、かえって健康的に長生きされる印象があります。糖尿病によってリスクが高くなる病気を理解して対策を講じていますし、さらには食生活に気をつけ、適度な運動を取り入れるなど、日頃から体のことを気遣っているのが大きいのでしょう。なんらかの病気があっても、早期発見にもつながりやすい。

 人間ドックも病気の早期発見に役立ちますが、定期的に受けている人でも年に1度です。その方の状態に特化した内容でもありません。そう考えると、人間ドックは万全ではないと言えます。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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