完治困難な膵臓がんの治療が変わった 新薬が6年ぶりに登場

胃痛や腹痛は膵臓がんのサインかも(C)日刊ゲンダイ

「大半はゲムシタビンとナブパクリタキセルの治療になります。ところがほぼ全員の患者さんが治療中増悪、あるいは副作用で中止せざるを得ず、50~60%の患者さんが次の治療(2次治療)へと進むことになります」

■2次治療も変わった

 2次治療では、最初の治療(1次治療)で使わなかった抗がん剤を使う。しかし2次治療で有効性が証明された抗がん剤はなく、医師が手探りで薬を投与していくしかなかった。今回の新薬「イリノテカン リポソーム」は、2次治療での有効性が初めて証明された抗がん剤だ。治験では、「ゲムシタビンとナブパクリタキセル」など、ゲムシタビンを含む1次治療を受けた後、増悪した患者を対象に、「新薬単独」「抗がん剤5―FUとその増強剤(従来2次治療でよく使われていた薬。以下=5―FU/LV)」「新薬+5―FU/LV」の3群の全生存期間を比較した。結果、「新薬と5―FU/LV」の併用群が、新薬単独、従来薬のいずれよりも全生存期間が有意に長かった。つまり、新薬と従来薬の併用が2次治療で有効であると証明された。

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