絶望してはいけない 命をつなぐ僧侶の言葉

置き去りにしていた自分の気持ちを見つめる機会にする

臨済宗妙心寺派大禅寺の根本一徹住職(C)日刊ゲンダイ

 先日も80代の女性が路上生活になってしまったといってやってきたのですが、何も持たずにあちこち行脚していて、まるで修行僧みたいですね、って言ったんです。ゼロになったのだから、これから生き直す気持ちで過ごすのもいいのでは、とお伝えしたのですが、相談者の方も、今までオフィスでは慌ただしすぎて置き去りにしていた自分の気持ちや、深いところの生き方や生き様、どのような魂を磨いていったらいいかということを見つめる機会にする。そうすればもしまたオフィスに戻ることになったとしても、仕事への向き合い方が以前とは違ってくるというふうに、成長できるのではないかと思います。

▽根本一徹(ねもと・いってつ)1972年東京生まれ。臨済宗妙心寺派大禅寺住職。「いのちに向き合う宗教者の会」代表。98年に出家し04年より自死防止活動を開始。国内外の国際会議で「世界仏教徒会議」日本代表発表者として登壇。

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