病気を近づけない体のメンテナンス

下肢静脈<上>職場セルフケアで足の「筋ポンプ」を鍛える

(提供写真)

 表在静脈の弁が1つ壊れると、血液が逆流するようになり、放置していると隣の弁から順番に壊れていく。その拡張した静脈がモコモコと蛇行しているように見えるのだ。下肢静脈瘤は急激に悪化することはめったになく、進行が非常に遅い。しかし、放置して治ることはなく、少しずつ確実に悪化していく。だからこそ発症予防、進行の悪化を防ぐには、毎日セルフケアが大切になるのだ。

 足の健康を保つには、重力に逆らって血液を心臓に運ぶ静脈の働き(静脈環流)をスムーズにすることが欠かせない。その重要な働きを果たしている1つが、ふくらはぎの筋肉による「筋ポンプ」の機能だ。
「ふくらはぎの筋肉は、血液を下から上に押し上げる作用を、静脈の横からサポートしています。ふくらはぎには腓腹筋とヒラメ筋があり、その周囲は静脈がスポンジ状に張り巡らされています。その筋肉の収縮、弛緩によって静脈が圧迫され、内部の血液が絞り出されるように上に流れるのです。特に立ち仕事の人に下肢静脈瘤の発症が多いのは、長時間の直立不動でこの筋ポンプが働かないからです。セルフケアの基本は筋ポンプを動かすことです」

 筋ポンプを動かすには、別に歩く必要はない。足首を動かすだけでも、自然とふくらはぎの筋ポンプは機能するからだ。岩井センター所長が勧めるセルフケアになる習慣はこうだ。

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