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年間7596人が帰らぬ人に…「転倒=死」の驚くべき現実

運動機能の維持に体を動かすことは大事
運動機能の維持に体を動かすことは大事(C)PIXTA

「脚を骨折して寝込んだと思ったら、あれよあれよという間に亡くなった」

 こんな高齢者の話をよく聞く。また、それまで元気だったのに転倒による脚の骨折が原因で自由に動けなくなったりすることで、病気になったりするケースも多い。さらに問題なのは、転倒がそのまま死に至るケースだ。厚労省の人口動態統計によれば、2018年の「転倒、転落、墜落」の死亡者数はじつに9645人。交通事故の死亡者数が4595人だから、その数には驚かされる。

 さらに9645人の死亡者のうち、7596人は「スリップ、つまずき及びよろめきによる同一平面上での転倒」による死亡である。いわば「なんでもないところ」で転倒しての死といってもいい。

 実際、中高年世代の多くも「なぜ、ここで?」といった場所でつまずいたり、よろけたりした経験があるはずだ。日本転倒予防学会によれば、高齢者の3人に1人は年に1回以上の転倒を経験するとされる。また東京消防庁によれば2018年、転倒で緊急搬送された高齢者の数は約5・8万人。うち6割が自宅での転倒である。

 高齢者の転倒の要因として、筋力低下、運動速度の低下、バランス障害、視力障害などのほか薬剤の影響なども挙げられるのだが、一般的に転倒予防にもっとも有効なのは運動による筋力、運動機能の維持、強化である。日常的にウオーキング、階段の上り下り、スクワット、ラジオ体操などを心がけることだ。

 また筋肉増強にはビタミンDも深くかかわっている。すでに当コラムでも紹介したが、食べ物による摂取はもちろんだが、ビタミンDは人間の体内でも生成される。そのためには太陽の光を浴びることが不可欠。転倒死予防には運動と日光浴をお忘れなく。

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