珈琲はクスリだ

<2>多くの研究で明確な効果を確認 「糖尿病」を予防する!

5杯飲む人で3割糖尿病になるリスクが低下
5杯飲む人で3割糖尿病になるリスクが低下
110万人のデータが証明

 糖尿病は日本で推計1000万人以上の人が患っているとされる国民病。珈琲は総死亡リスクを低下させると共に、糖尿病に対して明確な予防効果があると多くの研究で確認されている。「コーヒーを飲む人はなぜ健康なのか?」(PHP出版)の著者で、「北品川藤クリニック」(東京・品川)の石原藤樹院長が言う。

「2014年の糖尿病専門誌で報告された論文によると、これまでの多くの研究に登録された、110万人以上のデータを解析した結果、珈琲をたくさん飲む人ほど、2型糖尿病になるリスクが低下していて、1日3杯飲む人では2割、5杯飲む人で3割糖尿病になるリスクが低下していました。実は、私自身、新規の患者さんが来るたびに問診で珈琲を毎日どのくらい飲むかを10年間近く聞き取り調査して5000人のデータを集めたことがあります。そのときも珈琲を1日3杯以上飲む人は糖尿病リスクが2割程度低下することが示されました。ですから、この報告にはとても興奮しました」

 糖尿病になると膵臓から出るインスリンというホルモンが不足しているか、その働きが悪いために、血糖値が上昇して、全身の血管が痛んでしまう。しかも、糖尿病は症状のないままに進行し、気が付いた時には全身の血管が老化して、取り返しのつかない状態になってしまう。一定程度進行すると二度と元に戻らなくなる。

「糖尿病が怖いのは、合併症です。糖尿病性の、網膜症、腎症、神経症という3大合併症のことを聞いたことのある人も多いことでしょう。網膜症とは目の後ろ側にある網膜と夜荒れる部分の血感に動脈瘤や出血、異常な血管の増殖などが起きるものです。最初は症状がありません。しかし、網膜が出血を起こして目の中の出血が広がると失明してしまいます。腎症は血液中の老廃物を取り除いて尿として体の外に排出するための腎臓が壊れていく病気です。進行して腎臓の機能が働かなくなると人工透析なしには生きていけなくなります」

 糖尿病性の神経症というのは手足の細い神経や自立神経といった内臓の機能を調節している神経が糖尿病によって生じた異常なタンパク質により障害されることを言う。

「手足のしびれやかゆみ、痛み、違和感から始まり、胃腸の働きが悪くなりトイレが近くなったり、心臓の鼓動の調整がうまくいかなくなったりします。進行すると痛みなどを感じなくなるため、足のケガに気づかずにそれが化膿して大事に至ることもあります」

 珈琲はこうした糖尿病を予防してくれる効果が確認されているのだ。

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