新型コロナ対策の窓開け換気 入り口を小さく出口は大きく

今夏は熱中症対策に加えコロナ対策も必要
今夏は熱中症対策に加えコロナ対策も必要(C)共同通信社

 梅雨が明けたら夏本番。熱中症対策に本格的に取り組まなくてはならない。今年はさらにコロナ対策も加わる。

「熱中症には労作性熱中症と、非労作性熱中症があります」

 こう言うのは帝京大学医学部付属病院高度救命救急センター長の三宅康史医師。労作性熱中症は屋外でスポーツや肉体労働などをしている時に起こるもので、日本救急医学会の調査では10代や中年の健康な男性に多い。急に発症するが、命を落とすことはめったにない。一方、非労作性熱中症はスポーツや肉体労働などをしていないのに起こる。男女差なく高齢者に多く、徐々に悪化。予後が悪く、亡くなるケースもある。

「熱中症で亡くなる人の80・4%が65歳以上の高齢者で、非労作性熱中症。昼も夜も熱波で室温がいつまでも下がらず、その中で何日間も過ごすうちに悪化し、もともと抱える基礎疾患も複合的に悪くなるのです」(三宅医師)

 非労作性熱中症のリスクが高い老親には、対策を徹底して伝えたい。例年であれば、こまめな水分摂取に加え「エアコンで室温を下げる」が重要になるが、今年はコロナ対策として換気が必須。エアコンでは換気ができず、「エアコン以外の方法で換気をする必要があります」と言うのは、「ダイキン工業」広報の重政周之さん。

 基本的な方法は、まず「24時間換気システム」の装置を常にオンにする。この装置は2003年の建築基準法の改正で設置が義務化されたものだ。

 次に、窓開け換気を定期的に行う。

「対角線上の窓を開けると、窓と窓の間を空気がしっかり通ります。1時間に10分が目安といわれていますが、それより30分に5分を2回の方が効果的です。回数をなるべく多くした方がいい」(重政さん)

■キッチンのレンジフード併用で効率良く風を通す

 窓開け換気にはポイントがある。開ける2カ所の窓のうち、一方の窓を小さく開けて、もう一方を大きく開ける。

「小さい入り口の方が空気が勢いよく入り、部屋の中の空気を撹拌してくれ、外に出す勢いがつきます」(重政さん)

 2カ所の窓は極力離れた方がいい。近過ぎると、部屋全体の空気が換気されない。

 もし窓がひとつしかないなら、扇風機やサーキュレーターを窓の外に向けて設置し、空気を窓の外に流れていくようにする。

 また、窓を開けても風が通らない時がある。その場合は、キッチンのレンジフードを「強め」で運転する。

 重政さんによれば、よくある問い合わせとして「換気中はエアコンをつけた方がいいかどうか」というものがある。おすすめは、つけっ放し。理由は2つある。

 1つは、窓を開けると外から熱い空気が入ってくるため、部屋の中の温度が高くなってしまうからだ。最高気温30度以上の真夏日や、35度以上の猛暑日となれば、わずか5~10分でも室温は上がる。前出の三宅医師は「昼も夜も熱波で室温がいつまでも下がらず、その中で何日間も過ごすうちに高齢者の熱中症が徐々に悪化する」と指摘していたが、それを避けるためにもつけっ放しがいい。

 もう1つは、節電。

「エアコンは、スイッチをつけて周りの空気を冷やす時に電力を最も消費します。一回つけてそのままだと、電力を最も消費するタイミングが一回で済みます。こまめにオンオフするとその都度、電力ピークの山が発生して電気代がかかります」

 電気代のことを考えると、窓を開けて換気する時は設定温度を少し高めにする方がいいが、熱中症対策を考えると、室温上昇を避けるために、普段より低めの方がいい。

関連記事