珈琲はクスリだ

<4>ウイルス感染を予防する インフルエンザや肝炎にも有効

カフェイン抜きの珈琲でも同様の結果
カフェイン抜きの珈琲でも同様の結果

 珈琲にはあまり知られていない「珈琲酸」と呼ばれる成分がある。ポリフェノールの一つ、クロロゲン酸が熱で分解されたときに生じる成分だ。

「コーヒーを飲む人はなぜ健康なのか」(PHP出版)の著者で、「北品川藤クリニック」(東京・品川)の石原藤樹院長が言う。

「珈琲の健康成分と言うとカフェインをイメージしがちですが、もうひとつ注目すべきはクロロゲン酸です。前回、珈琲が糖尿病予防に役立つ話をしましたが、カフェイン抜きの珈琲でも同様の結果が確認されています。それはこのクロロゲン酸のおかげとみられています。カフェインには健康に役立つ面がたくさんある一方で依存性や心臓を刺激するなどのマイナス面もありますが、クロロゲン酸にはそれがありません。ただし、熱に弱く生豆を焙煎すると急激に減ってしまいます。そのとき増えるのが珈琲酸で、がん細胞やウイルスの増殖を抑えることが基礎研究で確認されています」

 野山にいるマダニに刺されると感染する、重症熱性血小板減少症候群と呼ばれる病気がある。刺されてから6日~14日程度で、原因不明の発熱、消化器症状(食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛)が生じ、時に頭痛、筋肉痛、神経症状(意識障害、けいれん、昏睡)、リンパ節腫脹、呼吸器症状(咳など)、出血症状(紫斑、下血)などの症状を引き起こす。時には重症化し、死亡することもある。

 2018年発表の感染症専門誌に掲載された論文で、珈琲酸がこの病気の原因であるSFTSウイルスに対して抗ウイルス作用があることが示されたという。

「ほかにもヘルペスやB、C型肝炎ウイルス、A型インフルエンザウイルスなどにも効果があることがわかっています。ただし、これは人間に対するものではなくあくまでも実験レベルのもので、人間に効くかどうかは今後の研究を待たなければなりません」

 とはいえ、その可能性はあるということだ。ダニにかまれたり、A型インフルエンザや肝炎になったら珈琲を飲むといいかも。

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