さらに、それぞれに対応するガイドラインに沿って、適切なカロリーや、塩分、タンパク質の量などを計算し、それに応じた食材を選んでメニューを作らなければなりません。また、アレルギー食材を避けたり、鳥インフルエンザが発生した場合などに特定の食材が使えなくなってしまうケースもあり、臨機応変な対応も求められます。
こうした作業が欠かせない病院食を限られた予算の中でやりくりするのは大変です。とにかく低価格で、なおかつ一度に40種類以上のメニューを用意しなければならないため、外部の業者に完全委託することも難しいといえます。以前、ある外食チェーン企業に声をかけたところ、「この価格とメニュー内容では、とてもウチではできません」との回答でした。
といっても、すべての調理を院内で行っているわけではありません。厨房施設は備わっていますが、そこではメニューに沿って外部で調理されたそれぞれの食事を振り分けたり、温めたりする作業を主に行っています。病院によってはすべて院内の厨房で調理しているところもありますが、全体的には縮小傾向で、今後はさらに外部に委託する部分が増えていくでしょう。
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