時間栄養学と旬の食材

疲労回復効果が望めるスダチとカボスは酸味で使い分ける

焼き魚にベストマッチ
焼き魚にベストマッチ(C)日刊ゲンダイ

 刺し身や焼き魚、鍋などの薬味としておなじみのスダチとカボスは今からが旬です。

 どちらもユズの近縁種でミカン科の香酸柑橘(かんきつ)類。値段もほぼ一緒であることから混同されがちですが、見分けるための決め手は大きさと生産地です。スダチの主な生産地が徳島で、大きさはゴルフボール大。カボスは主な生産地が大分で、大きさはテニスボール大なのです。

 では、含まれている栄養価はどうなのでしょうか? 実は酸味など多少の違いはあるものの、一度に食べる量がそれほど多くないため、摂取できる栄養や成分には大きな違いはありません。

 いずれも、疲労回復効果も期待できるクエン酸を豊富に含んでいます。運動後にクエン酸を摂取することで疲労回復効果が格段に上がったという報告もあることから、一日動いた後の夕食におすすめです。また、クエン酸には牛乳や小魚に多く含まれるカルシウムの吸収を高めてくれる役割もあり、夕食時にクエン酸とカルシウムを同時に摂取すると、カルシウムの大腿骨への利用がアップすることも分かっています。

 香りの成分では、リモネンやピネンといった柑橘類に多い成分をどちらも含んでおり、リラックス効果が期待できます。

 徳島大学の研究によると、スダチの爽やかな香りは気持ちを落ち着かせてくれるだけでなく、搾りかすに血糖値の上昇を抑える効果があることが報告されています。また、カボスの皮に含まれるスダチチンというポリフェノールの一種は、脂質の代謝を改善し、体重増加を抑制してくれることも分かっています。

 そんなスダチとカボスですが、酸味の違いをうまく使い分けられると献立の幅も広がります。スダチの酸味はカボスよりも強く、食材にすがすがしい香りを添えたいときに使いやすいです。例えば、キノコ料理や、味噌汁に搾ってもその香りを楽しめます。対してカボスの酸味は弱めなので、素材の味を際立たせたいフグ料理や鶏肉のソテーなどにおすすめです。

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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