進化する糖尿病治療法

糖尿病の人が今すぐ行うべき認知症の発症回避対策

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 さらに問題視したいのは、認知症を発症した後の糖尿病治療です。糖尿病治療は、食事、運動、薬物治療の3本柱が基本です。しかし認知症で認知機能が低下すると、食事や運動の管理がうまくできなくなります。定期的な薬の内服や注射も管理しづらくなります。

 同居するご家族がいる場合は、ご家族の負担が増えますし、一人暮らしの場合は、なんらかの対策が必要。しかし、そうしていても認知症発症前と同じように糖尿病治療がうまくいかず、糖尿病が悪化してしまうケースが珍しくないのです。

 7月8日(米現地時間)、米国の製薬会社「バイオジェン」がアルツハイマー型認知症の治療候補薬について、FDAへの生物製剤ライセンス申請を完了したことを発表しました。これまで承認されている薬は認知機能を一時的に改善するに過ぎないのに対し、今回の候補薬は認知機能の低下を抑えられたとの結果が臨床試験で出ており、世界初のアルツハイマー型認知症治療薬になるのではないかと、期待されています。

2 / 4 ページ

坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

関連記事