進化する糖尿病治療法

糖尿病の人が今すぐ行うべき認知症の発症回避対策

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 しかし現段階ではFDAに承認されるかどうかはなんとも言えません。承認されたとして、日本に入ってくるのは何年も先でしょうし、しばらくは非常に高額で、一般の人が使えるようになるまでは時間がかかると思われます。

■症状が出てきたらすぐ病院では遅い

 となると、現在糖尿病を抱えている人は、将来の認知症対策として、何をすべきか?

 認知症を疑うような症状が出てきたら早く病院に行って検査を受ける。これは確かに早期発見という意味で有効ですが、症状が出てきているということは、すでに認知症を発症しているということ。認知機能を一時的に改善する薬しか現段階ではないため、できるなら、発症する前になんらかの対策を講じたい。

 そうなると、確実にできる対策は、血糖コントロールしかありません。前述の糖尿病治療の3本柱にきちんと取り組む。高血圧、脂質異常症がある人は、血管性認知症のリスクを下げるために、それらの治療にも取り組む。

3 / 4 ページ

坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

関連記事