医者も知らない医学の新常識

専門誌で研究報告 週1回のチョコレートでも心臓病に効く?

少ない量でも健康への効果あり(C)日刊ゲンダイ

 ココアやチョコレートに含まれるカカオ由来のポリフェノールと呼ばれる植物由来物質に、体の老化を防ぎ、生活習慣病を予防する効果があることは多くの研究によりほぼ確実と考えられています。特に研究されているのは、認知症に対する予防効果で、一定期間カカオ由来のポリフェノールを取ることにより、脳の血流が改善し認知機能も改善するという研究結果が報告されています。

 ただ、そうした研究では、特別に調整したポリフェノールを使用しています。これを毎日欠かさず取らないといけないのです。しかし、カカオはそのまま食べておいしいようなものではなく、ココアやチョコレートは牛乳や砂糖などをたくさん入れることで、飲んだり食べたりしやすくした食品です。従って、ココアやチョコレートを多く取ることは、肥満などに結び付きやすく、決して健康に良いとは言い切れません。

 それでは、もっと少ない量のチョコレートでも、健康への良い影響はあるのでしょうか? 今年の心臓病予防の専門誌に、それについての興味深い研究が発表されています。これまでの臨床データをまとめて解析したところ、チョコレートを週に1回以上食べている人は、食べない人と比較して狭心症や心筋梗塞の危険性が、それだけで8%低下していたのです。週1回のチョコレートでも、意外に健康への効果はあるようです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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