新型コロナ後遺症の正体

入院患者の過半数が訴える疲労感 背景で囁かれる意外な病名

新型コロナウイルスに感染し退院後も体調不良が続く人を対象にしたリハビリ施設で検査を受ける元患者(手前)=イタリア・ジェノバ(C)ゲッティ=共同

 2020年7月に「米国医師会雑誌(JAMA)」に発表された、イタリア・ローマのジェメッリ大学病院の調査結果では、患者143例において新型コロナ感染症発症から約2カ月の時点で87・4%の患者が何らかの症状があることが報告された。

 米国での3~5月にかけての350例の入院患者の検討でも、3週後に正常化は39%にすぎないと報告されている。外来患者292例でも、正常化は65%だった。

 では、患者はどのような症状を訴えているのだろうか? ジェメッリ大学病院の調査対象となった患者の平均年齢は56・5歳、平均入院期間2週間。無症状は18例(12・6%)、患者の32%は1~2つの症状があり、55%は3つ以上の症状が見られた。患者の44.1%でQOLの低下が見られ、特に倦怠感(53.1%)、呼吸困難(43.4%)、関節痛(27.3%)、胸痛(21.7%)が目立った。他に咳、嗅覚異常、ドライマウスやドライアイ、鼻炎、目の充血、味覚異常、頭痛、喀痰、食欲不振、咽頭痛、めまい、筋肉痛、下痢といった症状もみられた。

2 / 3 ページ

東丸貴信

東丸貴信

東京大学医学部卒。東邦大学医療センター佐倉病院臨床生理・循環器センター教授、日赤医療センター循環器科部長などを歴任。血管内治療学会理事、心臓血管内視鏡学会理事、成人病学会理事、脈管学会評議員、世界心臓病会議部会長。日本循環器学会認定専門医、日本内科学会認定・指導医、日本脈管学会専門医、心臓血管内視鏡学会専門医。

関連記事