日本人の3人に1人は“痔主(じぬし)”といわれ、症状を自覚していなくても検診を行えば7割の人に痔が見つかるとされる。それほど身近な病気で、いつ誰が発症してもおかしくない。痔というのは、単一の原因によって起こる一過性の疾患ではなく、高血圧や糖尿病などと同じ、生活習慣病といえるからだ。生活習慣が悪ければ痔を進行させたり、再発を繰り返す。しかし、逆に生活習慣を改善することで予防できるし、再発を防ぐことができるわけだ。
年間1万2000人の患者を診ている「平田肛門科医院」(東京都港区)の平田雅彦院長が言う。
「痔は肛門周辺の炎症がきっかけとなって起こります。肛門を通過する便は汚い老廃物で、しかもアルカリ性なので肛門の皮膚粘膜にとっては攻撃因子です。通常は炎症を起こさないのは、肛門内は局所免疫が強く働いているからです。ところが、さまざまな要因から全身の免疫力が低下すると、肛門の局所免疫が十分機能しなくなり、肛門に炎症が生じて痔を引き起こすのです」
病気を近づけない体のメンテナンス