コロナ第2波に打ち勝つ最新知識

感染リスクはゼロにはできない 気にすべきは「ウイルス量」

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 新型コロナの感染拡大が止まらない。18日には全国の新規感染者数は913人に上り、死者16人は緊急事態宣言解除後最多だという。再度日常生活で何に注意したらいいのかを公衆衛生に詳しい岩室紳也医師に聞いた。

「感染者が増えている原因のひとつは、一般の人が自分でできる予防法を正しく、具体的に理解していないからです。それは専門家の説明が正しく伝わっていない証左でもあります。例えば、あるテレビ番組に出演した際、『キスで新型コロナはうつりますよ』という話をしたら、スタジオがざわめきました。『知らなかった』というのです。しかし、口や鼻から出る飛沫に含まれるウイルスが感染源のひとつであることは散々専門家が話し、報じられています。感染者とキスをすれば、その唾液には目に見えない飛沫とは比べものにならないほど大量のウイルスが含まれている可能性があるのですから感染リスクが高くなるのは専門家の常識です。ところが一般の人にいまだにその認識が浸透していないのです」

 そもそも感染症では感染リスクをゼロにすることはできない。できるのはそのリスクを減らすことで、それにはウイルスが多く含まれている落下した飛沫に触ったり、飛沫が付着した飲食物を口にしたりしないことだ。専門家のこの常識がいまだに伝わっていない一般人は多いという。

「よく専門家は新型コロナウイルスを含む飛沫の大きさは5マイクロメートル(1マイクロメートルは0・001ミリメートル)から500マイクロメートルぐらいという話をします。ところが、一般の人はその話の重要性を理解できていません。それは5マイクロメートルと100マイクロメートルの大きさの差を実感できないせいもあるでしょう」

 両者は例えていうと直径5センチの球と直径1メートルの球ほどの違いがあり、体積では8000倍の差がある。体積とウイルス量が比例すると考えれば、両者の感染リスクの差は8000倍ということになる。

「咳や会話で飛沫は2メートルほど飛ぶといわれていますが、大きな飛沫は直径が100~500マイクロメートルほどあり、その重さ故に口元から数センチから十数センチ先に落ちます。その位置に飲食物があれば当然感染リスクは高くなります。だからこそ、大勢の飲食は感染リスクが高いのです。とくに小分けせずに大皿から食べるのは危険です」

 一方、エアロゾルと呼ばれる0・5マイクロメートル未満の小さな飛沫が口や鼻から侵入して感染する可能性はあるが、そのウイルス量を考えれば感染リスクは100マイクロメートル以上の飛沫の比ではない。空気の流れを止めずにエアロゾルを拡散させるように換気すれば、感染リスクはさらに低くなる。

「専門家の中には感染リスクが低く自分もよくわかっていないのに海外の研究論文の結果をうのみにして危機感をあおっている人もいます。一般の人はそれに惑わされず、自分でできることを気にかけ、そうでない事柄は気にしないことです」

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