6つの変異を獲得した 日本独自の新型コロナウイルスの正体

緊急事態宣言解除後、繁華街に人が戻ってきた(C)日刊ゲンダイ

 一方で、ウイルスにとって有利な変異を伴っていなくても、広く拡散することがある。そのことは、遺伝学分野の専門用語で言う「びん首効果」で説明ができるのだ。以下、「びん首効果」に基づいて、日本で広がっている新型コロナウイルスの変異の移り変わりについて考察する。

 3月、4月の時点で、特に欧州を中心に感染が広がった新型コロナウイルスが日本にも数多く入り込み、日本国内でも感染が広がった。その時点では、さまざまな地域から新型コロナウイルスが流入し、日本には多様な変異を持った新型コロナウイルスが存在したと考えられる。

 しかし、4月の下旬から5月に入り、日本国内では感染者数がかなり減っていった。新型コロナウイルスは人体と一部の動物でのみ増殖ができるので、感染者数が減るということはすなわち新型コロナウイルスの数そのものも減少していたと考えられる。この時点で、新型コロナウイルスの多様性は大きく減少し、いくつかの変異を持った新型コロナウイルスがわずかに存在していたのだろう。

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