みんなの眼科教室 教えて清澤先生

急激に両眼の視力が永続的に低下する「レーベル病」とは?

写真はイメージ

 レーベル病を発症するDNA変異は3タイプあり、90%がそのいずれかの変異によるものです。この遺伝子変異が細胞内のエネルギー産生を妨害します。しかし、この変異を持っていてもかなりの割合の人は病気を発症しません。ストレスなど追加の環境要因によって発症すると考えられています。

 レーベル病は診断が難しい病気です。遺伝性疾患ですが、必ずしも家族に同症状の人が居るとは限りません。診断のためには神経眼科検査とミトコンドリアDNA分析が必要です。眼底所見は最初に微小な血管の異常が出現し、神経線維層腫脹が見られるようになり、やがて視神経萎縮に進行します。現在の一般的な転帰としては、恒久的かつ重度の視力障害を残しますが、治療法に関して最先端の研究も進行しています。

 この疾患を患われた方々の団体に「レーベル病患者の会」があります。2019年におこなわれた第28回視覚障害リハビリテーション研究大会では、「レーベル病患者の就学状況についての実態報告」について発表されたそうです。10代で発症した患者の家族8名に対しておこなったアンケート結果です。

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清澤源弘

清澤源弘

1953年、長野県生まれ。東北大学医学部卒、同大学院修了。86年、仏原子力庁、翌年に米ペンシルベニア大学並びにウイリス眼科病院に留学。92年、東京医科歯科大眼科助教授。2005-2021年清澤眼科院長。2021年11月自由が丘清澤眼科を新たに開院。日本眼科学会専門医、日本眼科医会学術部委員、日本神経眼科学会名誉会員など。

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