医者も知らない医学の新常識

新型コロナウイルス感染症も重症化…血糖は低くても危険!

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 糖尿病があると「新型コロナウイルス感染症が重症化しやすい」というのは、広く知られている知見です。ただ、これは新型コロナに限った話ではありません。

 そもそも糖尿病という病気は体の免疫を低下させるので、インフルエンザなど他の感染症も重症化しやすく、肺炎なども併発しやすい、という特徴があるからです。傷などの治りも悪くなるので、外科手術の時には、糖尿病がないかどうかは必ず聞かれますし、糖尿病があって血糖コントロールが悪いと、それだけで手術は延期されてしまいます。

 それでは、血糖は低ければ低いほどいいのでしょうか?

 もちろんそんなことはありません。血糖が通常より低い低血糖になると、手の震えや頭痛などが起こり、重症の低血糖では脳の働きも低下してしまうからです。

 今年の糖尿病の専門誌に、新型コロナウイルス感染症の重症化と、血糖値との関係を検証した論文が掲載されました。

 中国・温州市の5カ所の病院に入院した、新型コロナウイルス感染症の患者293人を分析したところ、血糖値が高めでも低めでも、どちらも重症化のリスクが高くなっていました。

 血糖値が90(ミリリットル/デシリットル)くらいを基準とした時に、85を下回ると25倍以上、127を超えると38倍以上、新型コロナウイルス感染症の重症化の危険は高くなっていたのです。血糖値は高くても低くても、新型コロナには気を付ける必要がありそうです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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