で、今回改めて取り上げたいのは、治療の選択とセカンドオピニオンについて。茂出木さんは、セカンドオピニオンを取り、手術延期の戦略を練ったといいます。推測するに、そのセカンドオピニオンの内容は手術のみで、放射線の説明や可能性はテーマになっていないと思うのです。
肺がんの4割を占める肺腺がんはステージ1なら、手術が基本。ですから茂出木さんの選択は間違いではありません。しかし、早期は放射線も、治療成績は手術と同じです。
早期の手術はメスで胸を開くことなく、内視鏡の胸腔鏡で行うことができます。それでも5日程度の入院が必要です。仕事をする人にとっては、それがネックになりやすい。茂出木さんも、短期間とはいえ現場を離れることを気にされたのかもしれません。
一方、放射線は通院で照射でき、東大病院の場合、照射時間はわずか100秒。着替えや準備の時間を入れても十数分。病院についてから会計まで30分ほど。照射日数は定位放射線は4日、最新の粒子線は1日です。この治療時間なら、仕事がある人も、現場を離れることなくやりくりできるのではないでしょうか。そうすれば、治療を先延ばしする必要がありません。
Dr.中川 がんサバイバーの知恵