進化する糖尿病治療法

主治医から眼科受診を指示されなければ受けなくてもいい?

年に1度は眼科受診を

 糖尿病の合併症に、糖尿病性網膜症があります。糖尿病性網膜症は、高血糖が続くことで網膜の血管が傷つき、視力の低下や障害が表れる病気で、日本では中途失明の原因の第2位になっています(日本眼科学会雑誌2014年)。

 2015年、製薬会社によって糖尿病性網膜症の予防に関する患者調査の結果が発表されました。過去に2型糖尿病と診断され、現在その治療のために通院している患者1000人に対し、インターネット調査が行われました。

 それによると、全体の23・6%が、糖尿病と診断されてから一度も眼科を受診していませんでした。また、眼科を一度も受診していない人と、糖尿病診断から眼科初回受診まで1年以上という人の合計は60・9%でした。一度も受診していない人の理由で半数近くを占めたのが「糖尿病治療医から眼科を受診するように言われなかった」というものです。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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