進化する糖尿病治療法

主治医から眼科受診を指示されなければ受けなくてもいい?

年に1度は眼科受診を

 眼科を受診したことがある人も、「1カ月に1回」の頻度の人はわずか3・7%。「1年に1回」が21・4%で、「現在は受診していない」人は22・3%でした。

 糖尿病性網膜症は一般的に、初期では自覚症状がなく、中期になると視界がかすむなどの症状が表れ、さらに進行すると視力低下や小さな虫が飛んでいるように見える飛蚊症といった症状が起こったり、急に視野の一部が欠ける視野欠損が起こったりします。

 視野欠損は網膜剥離が考えられ、失明に至る可能性も高くなります。

 ただ、糖尿病性網膜症による血管の異常が、視力の関係する部分のどれだけの範囲に及んでいるかで症状が異なります。だから自覚症状がある・なしにかかわらず、定期的に眼科を受診しなければ、糖尿病性網膜症の十分な備えとは言えません。

 糖尿病性網膜症は、糖尿病を発症してからの年数が長いほどリスクが高く、発症10年では5~6割の患者さんに見られるともいわれます。「自分は糖尿病と言われたばかりだから、まだ大丈夫」と思う人がいるかもしれません。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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