進化する糖尿病治療法

主治医から眼科受診を指示されなければ受けなくてもいい?

年に1度は眼科受診を

 糖尿病性網膜症は、初期の段階では血糖値・HbA1cをしっかり下げ、高血圧、脂質異常症の治療、そして禁煙などによって進行を食い止められます。しかし、中期以降になると、網膜光凝固術や硝子体手術などが行われるものの、それらは視力低下をできるだけ防ぐことが目的で、損傷を受けた網膜を回復させるものではありません。

 視力低下や失明がどれだけ生活の質を低下させるかは、言うまでもないでしょう。糖尿病の患者さんで、一度も、あるいはしばらく眼科を受診していないという人は、すぐにでも受診をしてほしいと思います。そして、その習慣を身につけてください。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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