結局、手術では、がんが腹腔動脈幹に浸潤していて切除は無理と判断され、放射線術中照射が行われました。
手術後、腹部の痛みは数日続きましたが、Kさんは無事に退院できました。その後、外来で抗がん剤治療が行われ、3年経過したいまも元気で過ごしています。
Kさんは入院する前に、家族宛ての手紙を書いて仏壇の引き出しに入れておきました。
「麻酔から目が覚めない時は、延命治療はいらない。私がいなくなったら八百屋は閉じていい。妻をよろしく。皆さんありがとう」
幸いなことに、その手紙を家族が目にすることはありませんでした。
膵臓がんは、術中放射線治療設備を持っていない病院でも、手術前、手術後の放射線・化学療法で治る方が増えています。
がんと向き合い生きていく