「死ぬまで元気」を目指す

朝一番の布団の中での「伸び」やストレッチは体を傷める

(C)日刊ゲンダイ

 記者の母は70代。ここ数年は朝起きてすぐのストレッチを日課にしているが、先日ストレッチ中に、これまで感じたことのないような痛みが腰に走ったという。

「60代以上の方には、朝起きてすぐにしっかりめのストレッチをすることをお勧めしていません」と話すのは、アスレチックトレーナーの三田貴史さん(=以下同)。

「人の睡眠時間は約6~8時間。この間、寝返りなどはあるにしても、ほぼじっとしていることになります。そうすると、筋肉は固まった状態になっています。その状態から、朝起きてすぐに強く体を動かすと、筋肉はびっくりしてしまい、うまく対応できなくなる。ぎっくり腰や筋を違えてしまう、なんてことになりかねません」

 朝に体を動かすことがダメなのではない。「いきなり強く動かす」がNGなのだ。

 では、どんな方法なら安全なのか?

「いきなりではなく、徐々に体をほぐしていく。朝起きて、ベッドや布団に仰向けに寝たままの姿勢でかまわないので、緩くねじる程度に体を動かしてみましょう。体を伸ばすというよりは、固くなったものをゆっくりとこねてほぐすイメージで行ってください」

 例えば、こうだ。目覚めたら仰向けのままで膝を立てる(写真A)。両脚を合わせたまま、左にゆっくりと倒していく(写真B)。できる範囲まででOK。左を倒したら、右も同様に。これらを繰り返す。呼吸方法や回数などは特に意識しなくてもよく、「気持ちいいな、体がほぐれてきたな」と感じられればいいそうだ。ちなみに、朝一番の布団の中での“伸び”も、年齢を重ねた人の場合は注意が必要。思いっきり伸びるのではなく、ゆるく体の状態を確認しながら伸ばすのがベターだ。

「もう少し本格的なストレッチやラジオ体操などを行いたい場合は、起きて朝食を食べ、体がある程度ほぐれてから行うようにしてください」

 年齢を重ねたら、「いきなり」動くのは怪我のもと。体の声を聞きながら段々と、がいい。早速記者も、母に伝えたいと思う。

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