専門医が教える パンツの中の秘密

タマの痛みの正体は…細菌が逆行して精子の貯蔵庫に感染

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 キンタマが腫れて痛みが出る病気のひとつが「精巣上体炎」で、「精巣上体(副睾丸=ふくこうがん)」に炎症が起きている状態です。精巣上体は左右の精巣(睾丸)の背中側にある器官で、精巣でつくられた精子が10~20日ほど蓄えられながら成熟する場所です。最大10億ほどの精子が貯蔵できるとされています。

 精巣上体炎は子供から大人まで幅広い層に起こりますが、発症の原因は尿道から侵入した細菌が精管(精子の通り道)を逆行して精巣上体で増殖すること。ですから尿道炎や前立腺炎などの尿路感染症が先に起こり、原因菌は大腸菌が最も多いとされています。

 通常、尿には炎症を起こすほどの細菌はいません。しかし、「前立腺肥大症」「尿道狭窄(きょうさく)」「膀胱(ぼうこう)結石」などの疾患があると尿の流れが悪くなり、尿が汚れて細菌が増殖するのです。子供では尿道や膀胱の「奇形」や「包茎」があると細菌が増殖しやすく、それが原因になることがあります。

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尾上泰彦

尾上泰彦

性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」院長。日大医学部卒。医学博士。日本性感染症学会(功労会員)、(財)性の健康医学財団(代議員)、厚生労働省エイズ対策研究事業「性感染症患者のHIV感染と行動のモニタリングに関する研究」共同研究者、川崎STI研究会代表世話人などを務め、日本の性感染症予防・治療を牽引している。著書も多く、近著に「性感染症 プライベートゾーンの怖い医学」(角川新書)がある。

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