新型コロナでわかった不都合な真実

流行期過ぎたインフル以外も…5、6月も死亡数の減少は続いている

閑散とした渋谷スクランブル交差点(5月)/(C)日刊ゲンダイ

 可能性のひとつは交通事故死だ。在宅勤務や外出自粛で交通量が著しく減ったのは、記憶に新しい。だが今年の4月までの数字では、昨年同期と比べて54人減にとどまっている。それに、2019年上半期の死亡は1930人だった。仮に5、6月期に大きく減ったとしても、まったく足りないのである。

 となると、もっとメジャーな死因から減っていると考えるのが自然だろう。やはり循環器疾患とがんということになるだろうか。2019年上半期の死亡数は、循環器疾患が18万2470人、がんが18万4881人だった。4月までに循環器系の死者が大きく減っていることは、すでに取り上げた。5、6月期にさらに減少幅が増したのかもしれない。だが、がんの死亡数が減るようなことがあるだろうか。あるいは、もっと意外な死因が減ったのかもしれない。抗がん剤治療などの自粛から、逆にがん患者の死亡が減った可能性も考えられる。あるいはそうした推測を覆すような、意外な死因が減ったかもしれない。

 しかし死因に関する統計は、5カ月の遅れで公開される。残念ながら、真相は来月、再来月まで待たないと分からないということだ。新しい数字の公開を待って、また本紙上をお借りしてその後の動向を紹介していきたい。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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