コロナ第2波に打ち勝つ最新知識

目のコロナ対策<1>眼鏡をかけると感染リスクは5分の1に?

感染対策として「目の保護」も大切
感染対策として「目の保護」も大切(C)PIXTA

 冬が迫り、新型コロナウイルスとインフルエンザのダブル感染が話題だ。それを避けるためのインフルエンザワクチンの早期接種に関心が集まっているが、目からの感染予防対策はお済みだろうか?

 新型コロナは目からも侵入することがわかっている。日常診療で眼科医が新型コロナに感染したことが報告され、涙から新型コロナウイルスが検出されたという報告もある。日本眼科学会は4月1日の段階で、新型コロナウイルス感染者には結膜炎を合併している人がいることを挙げ、「新型コロナウイルス感染症の目に関する情報について(国民の皆様へ)」で目からの感染リスクを警告していた。

 他の国でもそのことが確認されていて、新型コロナ感染対策のガイドラインでは、「目の保護」が強調されている。

 そんななか、中国の南昌大学病院の研究チームが米国医学会の眼科学会誌「JAMA Ophthalmology」に発表した論文が関心を呼んでいる。 

 1月27日~3月13日に中国・湖北省の随州にある病院に入院した新型コロナウイルス感染症の患者276人を検討したところ、眼鏡を1日8時間以上かけている人の割合は5・8%しかおらず、同地域で眼鏡着用者の人口比率である31・5%の、5分の1だったという。

 つまり、この研究を見る限り日常的に眼鏡をかけている人が新型コロナに感染する可能性が低い、逆にいうと目を裸にしている人は感染しやすいということだ。日本眼科医会学術委員で「清澤眼科医院」(東京・南砂)の清澤源弘院長が言う。

「たったひとつの病院のごく限られた報告でしかないので全面的に信頼はできませんが、眼鏡が新型コロナの感染防止につながるのではないか、という示唆は興味深いことです。気温と湿度が低くなるこれからの季節は新型コロナの感染力が高くなると考えられますから、目を裸にしないことは重要だと思います」

 新型コロナウイルスの細胞への侵入口は口、鼻、のどの上気道の粘膜に多く集まっているACE2受容体だ。目にもそれは存在し、主にまぶたの裏と眼表面の粘膜に集中している。新型コロナウイルスはそこから感染すると考えられている。

「ただし、これまでの目からの感染は飛沫や接触によるものとされてきました。感染者としゃべった時に、ウイルスを含んだ唾液が飛んできて目に入ったり、手指にウイルスが付着した状態で目に触ったりこすったりした場合に感染につながるケースがあるといわれてきたのです。ところが、先日、WHO(世界保健機関)が直径5マイクロメートル以下の粒子による空気感染の可能性に言及し警告しました。はしかのような感染力の強い意味ではないでしょうが、冬に向かい、気温が15度以下、湿度40%以下になると、ウイルスは表面の水分を失い空中に浮遊しやすくなり、感染能力を維持する時間も長くなります。冬にマスクで口や鼻を覆ったとしても新型コロナウイルスは空気中を長時間漂い、目から侵入するかもしれない。ゴーグルや眼鏡でそれを避けようという説が出てくるわけです」

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