うなずいたAさんは、さらにこんな話を続けます。
「先生、そういえば、私は猫を1匹飼っていましてね。生まれたばかりの時に拾ってきて、しつけはしっかりしています。ウンチもおしっこも自らトイレに行って済ませますよ。でも今回の入院で、そのまま放してきました。勝手に外にも出られますが、食べ物はどうしているのか……それを心配しています」
手術のため外科に移る予定だったケンカ相手のCさんは、翌日には外科病棟へ移り、4人部屋から居なくなりました。ところがその晩、Aさんの腹痛がひどくなり、翌日には腸閉塞のため緊急手術になって、Cさんと同じ外科病棟に移ったのでした。
ストレッチャーに乗せられたAさんとCさんの2人は、手術室の待機フロアで偶然にも顔を合わせ、お互いに手を上げてあいさつしたそうです。こんな場面があったことを、後になって看護師が笑いながら教えてくれました。
がんと向き合い生きていく