コロナ第2波に打ち勝つ最新知識

持病が3つ以上で5倍…欧米データから見た重症化しやすい人

国立国際医療センター(提供写真)

 感染流行当初から若い人では重症化しにくいことが分かっていた。また、軽症や無症状の人からも感染することがあるとも報告されていた。さらに、飛沫や接触のみでなく、広義の空気感染があることも知られていた。従って、発熱した有症者と限られた濃厚接触者を追跡するクラスター対策や有症者のみにPCR検査を限定する感染防護方針に限界があることは予想できたはずである。このことを理解しつつも油断していた欧米では、不顕性感染の急拡散で悲惨な状態となったが、我が国では、徹底したマスク着用や手洗い・消毒といった清潔な生活習慣のおかげで何とかパニック的感染爆発は免れた。

 さて、当初からどのような人が重症化するのか、そのリスクについて世界中で研究されてきた。たとえば中国や米国での研究により、高血圧症、糖尿病、肥満、心血管病、腎臓病などが危険因子として報告されてきた。米国疾病対策センター(CDC)の報告では最大の危険因子は年齢で、18~29歳の若い人に比べ、65歳以上では5倍以上の入院率、90倍以上の死亡率であった。

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東丸貴信

東丸貴信

東京大学医学部卒。東邦大学医療センター佐倉病院臨床生理・循環器センター教授、日赤医療センター循環器科部長などを歴任。血管内治療学会理事、心臓血管内視鏡学会理事、成人病学会理事、脈管学会評議員、世界心臓病会議部会長。日本循環器学会認定専門医、日本内科学会認定・指導医、日本脈管学会専門医、心臓血管内視鏡学会専門医。

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