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持病が3つ以上で5倍…欧米データから見た重症化しやすい人

国立国際医療センター(提供写真)

 持病によるリスクで見ると、死亡率が高くなるのは高血圧症、肥満、糖尿病で3倍、腎臓病で4倍、3つ以上の病気があると5倍といわれている。個々の病気などでのリスクは次のようにいわれている。

●脳血管疾患:重症化リスク1・8倍、死亡リスク2・4倍
●高血圧症:重症化リスク2倍、死亡リスク2・2倍
●肝疾患:肝硬変の重症度に伴い死亡リスク増加(最大28倍)
●妊娠:1・7倍、人工呼吸器が必要になる
●喫煙:重症化リスク1・9倍

 しかし、これらは先に述べた通り、海外でのデータによるものである。新型コロナの発生源に近い日本では10月4日現在、8・5万を超える感染者が出ているにもかかわらず、なぜか独自のデータに基づく重症化リスクの大規模な分析結果は国民に伝えられてこなかった。

 その理由はPCRなどの検査の制限により、感染者数や患者の病態の正確な把握が困難なため、信頼に足る感染患者のデータを集めるのに困難を極めたことと推測される。

 しかし、ようやく国立国際医療センターがまとめた「COVID―19に関するレジストリ研究」が公表された。9月28日時点で研究参加施設802、レジストリ登録症例数1万48例を基に、現在も分析が続いている研究の中間報告である。 =つづく

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東丸貴信

東丸貴信

東京大学医学部卒。東邦大学医療センター佐倉病院臨床生理・循環器センター教授、日赤医療センター循環器科部長などを歴任。血管内治療学会理事、心臓血管内視鏡学会理事、成人病学会理事、脈管学会評議員、世界心臓病会議部会長。日本循環器学会認定専門医、日本内科学会認定・指導医、日本脈管学会専門医、心臓血管内視鏡学会専門医。

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