医者も知らない医学の新常識

胃薬で糖尿病になるリスクが増加 消化器専門誌が論文掲載

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 糖尿病は生活習慣病の代表で、世界的に患者数が増加している現代の病気です。血糖が上昇して尿に糖が出るばかりでなく、全身の血管が障害されて、腎臓病や心筋梗塞など、全身の重い病気の原因となるのです。

 多くの糖尿病は生まれつきの体質と、生活習慣などの環境要因が合わさって起こると考えられています。環境要因の中で最近注目されているのが腸内細菌です。

 人間の腸の中には多くの細菌がすんでいて、毎日食べる食事を分け合い、その消化は吸収を助けることで、体の代謝に大きな影響を与えています。

 この腸内細菌は食べるものが変わると簡単に入れ替わるのですが、同じ食事をしていれば容易には変化しません。太りやすさのような体質は、生まれつきのものと思われますが、実は腸内細菌によって決められている部分も多いのです。

 腸内細菌は薬によっても変化します。最近、胃潰瘍や逆流性食道炎に使用されている、強力に胃酸を抑える胃薬は、腸内細菌を変化させることが知られています。

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石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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