コロナ第2波に打ち勝つ最新知識

5つのサイトカインを発見 血液検査で重症化リスクがわかる

コロナウイルス検査(C)ロイター

 とはいえ、この5つの因子が他の病気でも新型コロナウイルス感染したときと同じような数値の動きをする場合は、新型コロナウイルス感染症の将来の重症度を測るマーカーにはなりえない。はたして、この5つの動きは新型コロナウイルス感染症の重症化に特異的なのだろうか?

 それを調べるため、研究チームは他の疾患群(C型慢性肝炎、児童精神疾患、2型糖尿病、慢性腎不全、慢性心不全、間質性肺炎、関節リウマチ)からの採血で確認したところ、CCL17が低い値を取るのは、新型コロナウイルス感染症の重症者のみだったという。

 残り4つについても、一部の病気に反応することはあったものの、新型コロナウイルス感染症の重症者で特徴的に高い値を示したという。

 これらの結果からも、5つの因子が新型コロナウイルス感染症の重症化患者を早期発見および囲い込みに有用である可能性が示され、CCL17の低下は感染早期に重症化予測に有用であると示唆された。

 同センターでは今後、国内において多施設共同による前向き試験を実施し、実臨床での有効性についてさらに検証を進めていく予定だという。本格的な臨床研究の報告が待たれる。

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東丸貴信

東丸貴信

東京大学医学部卒。東邦大学医療センター佐倉病院臨床生理・循環器センター教授、日赤医療センター循環器科部長などを歴任。血管内治療学会理事、心臓血管内視鏡学会理事、成人病学会理事、脈管学会評議員、世界心臓病会議部会長。日本循環器学会認定専門医、日本内科学会認定・指導医、日本脈管学会専門医、心臓血管内視鏡学会専門医。

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