コロナ第2波に打ち勝つ最新知識

死亡者数に占める割合はインフル以下だが…元気な高齢者が危ない

50代以上は急激に致死率が上がる
50代以上は急激に致死率が上がる(C)日刊ゲンダイ

 それほど恐れる必要はないのではないか。新型コロナウイルス感染症に対して、そんな見方が広がっている。

 実際、22万人の日本人が犠牲になったスペイン風邪での流行初年度(1918年)の死者数は6万9824人。一方、新型コロナの累計死者数は10月10日現在、1623人だ。

 新型コロナの死者数が日本全体の死亡者のどのくらいを占めるのか、を調べてみると、令和元年の日本全体の年間死亡者数は138万人だから0・117%に当たる。日本人初の新型コロナの死者が出たのは2月13日。仮に残り4カ月間、今までのペースで死者が増えたとすると年間死亡者数は2435人となる。その場合の日本の年間死亡者に占める新型コロナの死者は0・176%だ。

 これを令和元年の人口動態統計の「死亡数・死亡率、死因簡単分類別」で比べると、インフルエンザ(0・3%)、急性腎不全(0・2%)、交通事故(0・3%)よりも低いことになる。確かにひとつの病気で2000人を超す死者が出るのは大変なことだ。しかし、だからといって全国民の生活を萎縮させる必要はないのではないか。東邦大学医学部名誉教授の東丸貴信医師が言う。

「新型コロナウイルス感染症は間質性肺炎を引き起こす恐ろしい病気ですが、最近、新規感染者が激増している欧米のデータをみても、重症者の比率は予想よりも少ないことがわかっています。冬の寒さの影響や突然変異などへの注意は必要ですが、日常生活を取り戻すべき時期にきているのではないか、と思います」

 そもそも、新型コロナの脅威は年齢や社会・生活様式によって変わるため、その対策をすればリスクは下げられるという。

 ただし、インフルエンザとは完全に別の感染形態であり、さらに重病を起こすので、感染者の増加に応じた柔軟な見方と対応が必要だ。

「例えば、最大のリスクが年齢なのはどの国でも同じ。50代以上は急激に致死率が上がりますが、逆にそれ以下の人は感染しても重症化や亡くなる人が少ない。心臓血管病や腎臓病、糖尿病や高血圧などがある人は感染、重症化リスクが高いことなどがわかっています」

■ルールを守って活動再開を

 もちろん感染機会の多い人は感染リスクが高い。

「ですから今後、最も注意が必要なのは、持病がありながらも元気に働く60代以上なのです」

 それでも、マスク、手洗いを徹底し、生活様式と飲食に注意していれば感染リスクを下げられる。このことは、この8カ月間が証明している。

「日本は欧米に比べるとPCR検査制限など感染予防対策が場当たり的であったのに感染拡散を抑えることができたのは、日本人のほぼ全員が正確なマスク着用と手洗い、不要不急な外出の回避を徹底したおかげだと思います。個人的なロックダウンのようなものです。逆に欧米やロシアでは、いくら政府が飲食や活動の制限をしても、一部の人たちがマスクもせず大人数のパーティーなどを行っていると友人の医師たちが嘆いていました」

 ちなみに無軌道な新型コロナ対策の最たるものが米国で、マスク着用を徹底したイタリアでは一時、日本並みに感染者数を減らせている。

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