専門医が教える パンツの中の秘密

性行為の頻度と関係?なぜプライベートゾーンは黒くなるのか

写真はイメージ
写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 ほとんどの人は日中、パンツをはいて生活をしています。夏、海水浴やプールに出かけても、海水パンツ(水着)だけは着けています。着けていなければ国内では「公然わいせつ罪」で捕まってしまいます。

 このように人の「外陰部(外性器)」は公衆浴場や性交などのとき以外は人目にさらされることなく、パンツの中で厳重に守られています。「お天道様を拝んだことがない(日光に当たったことがない)」という外陰部がほとんどでしょう。

 しかし、なぜ人の外陰部は大人になるにつれ黒ずんでくるのでしょうか。

 この現象は昔から「淫水(いんすい)焼け」とも呼ばれたりします。愛液に触れる機会が多いほど黒ずんでくるということから付けられた俗称ですが、それは間違いです。黒いほど性行為の頻度が多いというわけではなく、黒くなる濃さにも個人差があります。

 人の皮膚は紫外線や摩擦などの刺激を受けると、表皮の最下層にある基底層に存在する「メラノサイト(色素細胞)」が「メラニン色素」を作り出します。それは外部からの刺激による悪影響が皮膚の奥に及ぶのを防ぐためです。日光を浴びて日焼けするのは、このメラニン色素の色なのです。

 ただし、メラニン色素には、黒色の「ユーメラニン」と黄色の「フェオメラニン」の2種類があります。そのため日焼けして黒くなる人もいれば、赤くなっても黒くならない人がいるのです。肌や毛髪の色もメラニン色素の割合で決まります。白人はフェオメラニンが多く、黒人はユーメラニンが多いというわけです。

 そして、メラノサイトは体の部位によって分布密度が異なります。日光がよく当たる顔面や手の甲などの他、日光の当たらない乳輪、外陰部、肛門周囲にも高密度で存在します。もちろん皮膚は刺激を受けなくなればメラニン色素が作られなくなり、不要となったメラニン色素も皮膚の新陳代謝でアカと一緒に排出されます。しかし、メラニン色素が大量に生成されると排出が追いつかず、皮膚の色素沈着が起こり、黒ずむのです。

 股間にある外陰部は歩くたびに摩擦が起こります。ですから性行為の頻度にかかわらず、ユーメラニンの割合が多い人ほど黒ずみやすくなります。女性の乳首も妊娠をすると色素沈着が起こり、黒くなります。これは女性ホルモンと共に、脳の下垂体から「メラニン細胞刺激ホルモン」が分泌されるからです。

 また、副腎の病気の「アジソン病」になると、メラニン細胞刺激ホルモンの分泌が増えるので、外陰部などに色素沈着が起こります。

尾上泰彦

尾上泰彦

性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」院長。日大医学部卒。医学博士。日本性感染症学会(功労会員)、(財)性の健康医学財団(代議員)、厚生労働省エイズ対策研究事業「性感染症患者のHIV感染と行動のモニタリングに関する研究」共同研究者、川崎STI研究会代表世話人などを務め、日本の性感染症予防・治療を牽引している。著書も多く、近著に「性感染症 プライベートゾーンの怖い医学」(角川新書)がある。

関連記事