コロナ第2波に打ち勝つ最新知識

指数関数的に増える驚異 いつでもロックダウンに戻れる体制を

かつては空港も閑散としていたが…
かつては空港も閑散としていたが…(C)日刊ゲンダイ

 政府は日本に中長期滞在できる資格を持つ外国人の受け入れを始めていて、いずれ観光客の受け入れも解禁される。

 そこで心配なのは海外から侵入してくる新型コロナウイルスだ。日本で流行している株と欧米での株が異なっていたことがわかっている。外国人の日本への受け入れに問題はないのだろうか?

「外国から強毒化したウイルスが入ってくる可能性はゼロではありませんが、いまのところ低いと思っています。国際間でのアラート(警報)も出ておらず、欧米で強毒化したウイルスが流行しているとの報告もありません。ウイルスすべてを網羅していませんからわかりませんが、新型コロナウイルスには3万個弱の塩基配列のうち、変異がみられるのは20弱とされています。その中には、感染の効率化を進める変異もあるともいわれていますが、すぐ日本を危機に陥れる可能性は低い」(ウイルス学者)

 ただし、新型コロナウイルスの存在が報告されてまだ1年間も経っていない。変異があるとすればこれからであり、確実な治療方法も現時点で存在しないことが懸念される。東邦大学名誉教授の東丸貴信医師が言う。

「感染症が怖いのはある時点から指数関数的に感染者が増加していくことです。新型コロナが本格的に感染拡大すると、防ぐ方法はありません。ですから感染拡大が始まったらすぐに感染経路を遮断できるよう、行政は体制を整え、個人はその事態を受け入れる心の準備をしておくべきです。感染予防に有効なマスク着用、手洗いの徹底に加えて、再び行動制限をしなければなりません」

■インフルエンザとは異なる重症化の過程

 誤解があるようだが、新型コロナウイルスは体内への侵入力は強いものの、空気伝染力は強くない。感染させられた人が軽症や無症状であれば、その次の人に感染させるリスクは少ないといわれている。ただ、密着や密閉状態での感染力は強力である。

「毒性も強くありません。ただし、まれにサイトカインストームを起こして重症肺炎のみでなく血栓症や心臓や腎臓にダメージを与えて、多臓器不全で死を招いてしまう。だから厄介なのです。しかも、インフルエンザと違い、有効な治療薬もワクチンもありません。新型コロナは毒性が弱いから大丈夫とはいえないのです」

 実はこの毒性の弱さが新型コロナを厄介者にする原因になっている。

「インフルエンザウイルスのように毒性が強ければ、体内に侵入するとすぐに、自然免疫が迎え撃ち、発熱、鼻水、咳、筋肉痛などの免疫反応が出ます。数日後には獲得免疫が抗体を作り、より強力に攻撃してウイルスを排除します」

 ところが、新型コロナは新しく毒性が弱いため、すぐに獲得免疫が出動しない。そのうちに体内にウイルスが広がり、ある日突然、牙をむく。

「通常、細胞がウイルスに感染すると、STAT1と呼ばれるタンパク質が細胞核に入って自然免疫の一つであるインターフェロンを作ります。ところが新型コロナウイルスが感染した細胞はORF6というタンパク質を作りこれを阻害する。その結果、毒性が弱くても人体内で感染拡大できるのです。一方で獲得免疫が発動しにくいので抗体もできにくく、ワクチンも作りにくいのです」

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