「ハイブリッド手術室」がその一例です。外科治療=手術と、内科治療=カテーテルを使った血管内治療を同時に行うことができる設備で、胸部大動脈瘤と腹部大動脈瘤に対する「ステントグラフト内挿術」や「TAVI」といった治療に活用されていて、先進的な心臓治療を行うためには欠かせないものになっています。そんなハイブリッド手術室の設置費用は十数億円かかります。従来の手術室の設置費用は3億円程度でしたから、必要経費が5倍以上に膨れ上がっているのです。
いまはそうした先進的な医療の背景について、行政が国民に広く伝えてはいませんし、医療者側も患者さんに説明する機会が与えられていません。
しかし、先進的な医療によってもたらされる恩恵は、そうした莫大なコストがかかった末に受けられるということを、患者さん側は理解しておく必要があるでしょう。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」