進化する糖尿病治療法

検診受診率が前年同時期比30%減で重大病見逃しのリスク増

定期的に健診を受けることが大事(C)PIXTA

 コロナ太りが話題になるほど、ただでさえ活動量が減りがちな昨今。健診を受けないでいる間に一気に数値が悪くなり、次に健診を受けた時には糖尿病がかなり進んでいることも考えられます。

 糖尿病は、長く「治らない病気」というのが常識でした。しかし最新の考えでは、糖尿病発症初期に厳格に血糖コントロールに努め、それを維持すれば、薬を服用していてもやめられる可能性はあるとされています。実際、私の患者さんも、劇的な生活習慣の変化によって血糖コントロールが素晴らしく良くなり、薬をやめられた方が何人かいます。

 一方で、念頭に置いておくべきなのは、「一度糖尿病になったら、糖尿病発症以前と同じ体ではない」ということ。糖尿病は一朝一夕で発症しません。長年の生活の積み重ねで、あるラインを越えてしまう。努力によって引き返せたとしても、ラインを越えやすい状態は変わりません。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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