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胸やけで考えられる病気は? 心臓病が隠れているケースも

消化器内科医の工藤あき氏
消化器内科医の工藤あき氏(提供写真)

 胸やけは食事の後などに、胸が焼けるような感じや痛み、違和感がある症状です。考えられる病気は一般的に「胃食道逆流症」です。

 これは、胃酸が食道に逆流することによって、みぞおちのあたりが焼けるように感じる胸やけを起こしたり、酸っぱい液体が上がってくるなどの症状、食道の粘膜が荒れて食道炎を発症する病気です。内視鏡検査(胃カメラ)を受けて、食道の粘膜変化が認められたら、「逆流性食道炎」と診断されます。

 食道の粘膜変化がない場合は、「非びらん性胃食道逆流症」と呼びます。

 主な原因は、お酒の飲みすぎや脂っこい物の食べすぎ。アルコール、コーヒー、炭酸、天ぷらやフライなどの揚げ物、甘いもの、酸っぱいもの、たばこを日常的に多く摂取したり、肥満、前かがみの姿勢の人に発症しやすいです。

 そういった一時的な生活習慣の乱れによるものは、通常は数日で元に戻りますから心配ありません。ただし、胃食道逆流症による、胸やけやげっぷが続く人の10%前後は大病を抱えている可能性があります。

 胸やけや喉のつかえ、みぞおちの違和感が続けば食道がんを疑います。胃酸の逆流によって食道の粘膜が変化し、がんになりやすいためです。内視鏡検査でわかるので、違和感が数週間も続くようなら消化器内科にかかってください。

「狭心症」の可能性もあります。これは内視鏡検査ではわからないので診断や処置が遅れることがあります。心臓は全身に血液を送るポンプの働きをしますが、動脈硬化や血栓などによって心臓の血管が細くなり、血流が悪化。それによって、心臓の筋肉に十分な酸素や栄養分が行き渡らず、胸の痛みを引き起こします。

 脂質異常症や高血圧の人、喫煙者は内視鏡検査を受けても異常が見られなければ、心臓の検査を受けてほしいです。

▽工藤あき(くどう・あき) 1988年、熊本県出身、久留米大学医学部卒業。工藤内科副院長。総合内科診療医。高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病をはじめ、胃カメラでのがんの早期発見、心身を整える漢方治療を得意とする。消化器・内視鏡ドクターとして日々診療を行いながら、腸内フローラ・腸内環境と美肌・アンチエイジングの関連性に注目している。さまざまな医療現場で活躍するスーパードクターたちが出演の公式YouTubeチャンネル「SuperDoctors -名医のいる相談室-」(QRコード)にて解説します。

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