また在留外国人の自殺を計上するかどうかの違いもある。警察の数字には、外国人の自殺者も含まれている。厚労省の数字は、日本国籍を有するものに限られている。とはいえ外国人の自殺者は少ない。上記の警察庁と厚労省の数字には、744人の差があるが、そのうち外国人は224人だった。残りの520人は、警察の捜査で自殺と判明したが、人口動態上は死因不明のままになっている日本人、ということになる。家族がいない独居老人やホームレスなどが、多く含まれているのかもしれない。
ちなみに生命保険では、免責期間(通常は2~3年)内の自殺は保障の対象にならない(保険金が下りない)。だったら受取人としては、死因不明のままにしておいたほうが得と思うかもしれないが、保険会社は警察に確認を取る。余計なことは考えても仕方がないだろう。
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永田宏
長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授
筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。