40代の男性は、20代の交通事故後から怒りが制御できなくなり、一度キレると頭が真っ白になるほど我を失っていた。
当初は、感情すごろくでも「ワケが分からない」と混乱していたが、練習を重ねる中で「いつもなら激怒する場面で悲しい気持ちを感じられた」「深い感情に気づくことで、不安やエンドレスに繰り返していた自責的な苦悩も減った」と変化し、やがて怒りを感じることがなくなった。
「この方法は、従来のアンガーマネジメントのような生じた怒りを抑える対症療法ではなく、怒りそのものを生じなくさせる根治療法です。つまり、怒りは脳の損傷が直接原因ではなく、脳損傷を抱えて追い詰められたことにより生じた不健全だが正常な心理反応にもかかわらず、それを『脳の器質異常が原因だから治らない』と患者さんは信じこまされてきた可能性すらあるのです」