医者も知らない医学の新常識

遺伝子が関係?風邪のひきやすさは生まれつき決まっている

写真はイメージ
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 風邪が流行する季節になりました。今年はインフルエンザや一般的な風邪以外に、新型コロナウイルス感染症もあり、症状だけからは見分けのつかないこともあるので、例年以上に注意が必要です。

 毎年必ず何度か風邪をひく、という人がいる一方で、「生まれてから一度も風邪をひいたことがない」と豪語する人もいます。生まれてから一度も……というのは大袈裟だと思いますが、実際に風邪のひきやすさに個人差があることは事実です。

 特定の病気で風邪をひきやすい、という人もいます。その代表は気管支喘息で、喘息の人は風邪をひきやすく、重くなりやすいということが知られています。

 それでは、風邪のひきやすさは何で決まるのでしょうか? 完全に解明はされていませんが、体を守っている「免疫」という仕組みの遺伝子に、その秘密があるのではないかと考えられています。

 今年の呼吸器科学の専門誌に、それについての研究結果が発表されています。喘息のある人とない人、合わせて約300人を長期間調査したところ、喘息の患者では風邪をひく回数が多いことが確認されました。さらに風邪ウイルスの感染を抑える免疫系の遺伝子の働きが、喘息の患者では低下していることも確認されたのです。

 風邪のひきやすさは、どうやら生まれつき決まっている部分が大きいようです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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